仮面





仮面をたくさんもっている
たくさんもっているけれど
いくつもっているかは分からない
もしかしたら 少ししかもっていないのかもしれない
常に仮面をもち歩いてはいない
だけど 行く先々で いつの間にか 仮面が私を覆っている

これには この仮面
こんな時は この仮面
こっち側には この仮面
はじめてのモノには 新しい仮面

これは私の意図ではなく
仮面が勝手に私を覆う
私は仮面に気付いているが 私の意図ではずしはしない
世界が美しくなる 仮面に身を委ねている限りは

ある仮面が私を覆っている時
別の仮面の出番がくると
ふたつの仮面は相反し、歪み、
ふたつの仮面は 私を覆いつくすことができなくなる
新しいイビツな仮面が生まれる

仮面を手放したい
仮面がいらないトコロへ行きたい
という感情を生むのも、ひとつの仮面









季刊詩誌「舟」160号 (2015年8月)