まぼろし





ぼくは
きみが来なければ なにもできないのか?
なにも…

この手が 頭が 動いているはずなのに
それは! 自分ではないような気がして
自分そのものなのかよく分からなくなるのだ

ここにぼくがいなくなればいなくなるほど
薄まっていけばいくほど
ここからぼくがでていけばでていくほど
きみはやってくる…
そしたら
ぼくは きみを放っておいて
そのままにしていなければならない
ぼくがそれを意識してしまったらきみは
消える
残像を残して

それから その残像をたぐりよせたって
そこにはなにもないのだ









季刊詩誌「舟」164号 (2016年8月)