誰もいない場所





誰もいない場所があり
そこに誰かきて すごして
やがてどこかへいった
すると
その場所には誰もいない
誰もいない場所であることに変わりはないが
確かにそこには誰かがいたということが違う

きた誰かは どこかを
誰もいない場所にして
そしてここにいて
そしていずれ ここを
誰もいない場所にして
確かにどこかにいる

ぼくは 誰もいない場所にいけない
想像することしかできない

ぼくは部屋にいて そとに思いをはせる
ぼくはそとにいて 部屋に思いをはせる
そこには誰もいない けっして
でも いってみれば
そこには誰かいる
たとえば
いつもいるのは ぼく…
どうしようもない

ぼくがこの部屋からいなくなる
と ここは 平然と…
誰もいない場所になるんだろう?
そこにはぼくがいた そしていなくなった
という痕跡は そのままにして









季刊詩誌「舟」165号 (2016年11月)