人のいる場所





人はみんな どこに存在しているのだろう

みんな そこにはいるんだけど
家にいて どこにいるの
外にいて どこにいるの
私の目の前にいても 本当はどこにいるの
その目に映る光景を 本当に見ているの?

多くの人はいま
そこにいながら この世界にいながら
そこには存在していないんじゃないか
って、思える…

うすっぺらな
点の集まりの世界があって
そんなところに身を置いている

そんな世界に…
すいこまれたりなんかしないで

点の世界と
見えない相手の存在に
支配されてはいけない
ふりまわされてはいけない
本当の自分を 失ってはいけない

この世界に触れてるこの身
人の目に映るこの身
常に何かに頭を巡らしているこの身
この身だけを大切にしていれば
自分を失うことは ないだろう

本当の自分の力を 点に隠して
想像の中で 大きいものにしすぎてはいけない
知らず知らずのうちに
醜い姿になってはいけない
それに気付けないように なってはいけない

そんな世界に存在を移して
いつのまにか…
戻れなくなんて ならないで









季刊詩誌「舟」163号 (2016年5月)