涙の日





ぼーっと座って 一点を見つめて
過ぎたある日を見た日

もうない場所を
私は自由に歩ける
細かいところまで歩ける
そうして歩いているのは
無邪気に冒険している 遠い日の私で
でも もうないことを思いだして
きづくと
涙がこぼれおちていた

なんで泣いてるんだろうって
笑ってみると
涙は顔をゆがませて
それでも笑ってみても
涙は私をおおった しばらくの間

遠い日の君の姿が
「あんなにたのしかったのに」
そう 私に思わせる

遠ざかっていく君の姿が 心が
私に涙を流させるのか
それとも 君はずっとそこにいて
遠ざかっているのは私の方なのか

そして
涙はとまり 落ちつき 静まり
不安になった

ぼくは もう
こうして涙を流すことはないだろう と
過ぎたある日は薄れていくことだろう と

君は振りかえらず
ずーっと遠くへ いなくなりそう









季刊詩誌「舟」161号 (2015年11月)