流出





ぼくはこのインクに溶けだして
ペン先から紙の上へと流出する
流れだしたぼくは
紙の奥底に沈んでゆき そのまま
眠ってしまう ひっそりと

実体のないぼくは
実体となることによって
失われているよう

あいまい
な ぼくは
耳をそばだてている
底で眠っているぼくの
かすかな寝息をたよりに
おずおずと
さまよう









「自由」3(2018年5月)