一例





人々は彼をろくでなしと呼んだ
     つまらない奴と呼んだ
     詩人と呼んだ
人々は彼に優しいねと言った
     薄情だと言った
     何を考えているのと言った
     ばかだと言った
人々は彼をおとなしい奴と決めた
     ひょうきんものと決めた
     なんも考えてない奴と決めた

ところが彼は
そのなんでもないのだ
だが当の彼も
彼自身が何なのかなど
決められることではなさすぎる
彼は
生きているだけである









「自由」4 (2018年12月)