意義





「何って?積み木だよ」
老人は答えた。老人の瞳は燃えている。
  「何で積み木なんか・・・」
「何でって?ぼくはぼくのために積み木をしてるんだ。・・・ワッ」
  「っ、なんですか」
「ほら、少し驚いたか。例えば今の感じを、この積み木でつくってみてよ」
  「・・・うーん、じゃあ。この形で、色は・・・これかな」
「そうそう。そういうことをぼくはやっている。まあ、積み木じゃなくても、なんでもよかったんだ。だけどたまたま、ぼくには積み木があったんだよ」
  「はあ。そんなこと、無謀です」
「そうなんだよ。きっと無理なんだ。だがやるんだ。ちなみに、本当に本当に稀なんだけれど、ぼくの積み木を見てジッと立ち止まる人がいるんだよ」
  「よくわかりませんね」
「そうかい。ぼくは、そういう時のために生きているのかもしれないとさえ思うよ」
  「よくわかりませんね」
若者は終始あきれていた。









「必然」(2019年10月)